第9回 化粧品等の安全性確保を目的としたNGRA(Next generation risk assessment)に関する研究助成金の公募
化粧品に対する動物実験を規制する動きは年々拡大しています。国内外の多くの化粧品会社では、化粧品・医薬部外品の開発に動物実験を用いることを中止し、動物実験代替法に関する最新の研究を積極的に実施していますが、医薬部外品等の申請の為の行政利用となると公的に認められた試験法が求められる状況にあります。しかし、公定化された代替試験法の開発状況はまだ十分とは言えず、現在求められている新規の化粧品・医薬部外品原料の許認可に必要な申請資料を、動物実験を用いないで作成することは困難な状況にあります。国際的にもOECDのテストガイドラインをもとに、安全性の確保が考えられていますが、新たに開発された代替法がこのような国際的な試験法として承認されるのは簡単ではありません。
一方で国際的にはヨーロッパなどの国々で化粧品目的のすべての動物実験が禁止され、新しい原料開発には全身毒性評価を含めた動物を使わない試験法の確立が必要とされていますが、一部Organ on a Chipなどが検討されているものの、実用化にはまだ課題も多いのが現状です。そんな中で近年検討されてきているものがNext Generation Risk Assessment (NGRA) と呼ばれる、動物を用いずにNew Approach methodologies (NAMs) と呼ばれるread across、in silico、in vitro、オミックスデータなど様々な手法を組み合わせたリスク評価のアプローチに注目が集まっています。NGRAについてはInternational Cooperation on Cosmetics Regulation (ICCR) においてもワーキンググループが設置され、検討が進んでいます1)。そこで、本学会の賛助会員であります日本化粧品工業連合会様から、この新しいアプローチをより広めるために、NGRAのケーススタディ2)の研究に対して、研究助成金をご支援いただくこととなりました。
応募希望者は、研究助成の応募書に記載の上、以下に示す添付資料とともに応募ください。多数の応募をお待ちしております。
※従来の「化粧品等の安全性確保を目的とした試験法評価に関する研究助成金」は本年度より、NGRA研究に特化した助成金となり、名称を変更いたしました。昨年度までとは対象となる研究テーマが異なりますのでご注意ください。
1. 助成の趣旨
化粧品等の安全性確保のための動物を使わない新たなリスク評価アプローチ(Next Generation Risk Assessment)によるケーススタディの研究に対して助成をいたします。特に、化粧品開発およびその原料に関連する化粧品産業に貢献される研究内容であることが期待されます。
参考:A Next-Generation Risk Assessment Case study for Coumarin in Cosmetic Products, Maria T. et al., Toxicological Science,176(1), 236-252, 2020.
参考:A Next-Generation Risk Assessment Case study for Coumarin in Cosmetic Products, Maria T. et al., Toxicological Science,176(1), 236-252, 2020.
A New Framework for a non-animal approach adequately assures the safety of cosmetic ingredients-A case study on caffeine, Budy D.et al., Regulatory Toxicology and Pharmacology , 123, 104931, 2021.
2. 応募方法
(1) 応募期限:2022年7月29日(金)(消印有効) 2022年12月9日(金) 延長しました。
(2) 応募書類
NGRA研究助成の応募書に記載の上、以下に示す添付資料とともに応募ください。
添付資料
1)NGRA Case studyに関する研究計画書(目的、期間、 組織、費用 が書かれているもの)
2)その他、申請者が選考上有用と考える資料
3. 助成額及び助成件数助成総額
200万円。なお、応募内容・状況により助成件数は弾力的に対応いたします。
4. 応募課題の選考
「研究内容がNGRAの原理原則2)に従っている事」、「研究内容の独創性」、「助成期間に得られる成果の可能性」などに関する審査と共に「総合評価」も行います。選考は日本動物実験代替法学会学術委員会が行います。
5. 助成研究者の義務
1.本学会非会員が助成対象者として採択された場合は、本学会への入会が条件となる。
2.補助金を受けてから2年以内に目標の研究を終了する。
3.事例研究終了後、3カ月以内に研究報告書及び助成金使用明細書を学会事務局に提出する。
4.事例研究成果は、AATEXへの論文投稿を行う。
5.研究成果発表時には、「化粧品等の安全性を確保としたNGRAに関する研究助成金公募による研究」と記載すること
6.残金が生じた場合には、学会に返金する。
6. その他
・研究成果は助成対象者に帰属する。但し、この助成金は、動物実験を用いない化粧品等の安全性評価法の発展に寄与することを目的とするため、その成果は公知とすることが望ましい。
・本助成に伴って得られた個人情報は、本助成に関する手続きにのみ使用する。
・本学会方針により誠に申し訳ございませんが、研究助成金に対する間接経費徴収免除をお受けすることができかねます。何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます
送付先、問い合わせ:
〒112-0012 東京都文京区大塚5-3-13
ユニゾ小石川アーバン4階(一社)学会支援機構内
日本動物実験代替法学会 事務局(事務担当:柴田)
TEL 03-5981-6011/FAX 03-5981-6012, Email: jsaae@asas-mail.jp